ジャズピアニスト

野瀬 栄進 さん

TEXT/YUSUKE TOKOSHIMA, PHOTO/NAOKO TAKAHASHI

新旧の情緒が交雑する街「小樽」で生まれ育った野瀬栄進さん。ジャズ好きの父の影響や、通っていた小樽市内のジャズバー、そして、19歳の誕生日に友人から貰ったコンピレーション・アルバムに感銘を受け、本格的にジャズピアニストを志します。20歳で単身アメリカに渡り、ジャズの本場でさまざまなピアニストに師事。今も日本とアメリカを行き来しながらジャズピアノに磨きをかけています。2009年には、作曲と演奏活動の功績が認められ、S&R Washington Awardをジャズピアニストとして初めて受賞。日本とアメリカの架け橋として活動する野瀬栄進さんの、つわもんインタビューです。

「賞を貰った明確な理由は正直わからないんです」と、謙虚に話す野瀬さん。それでも「過去の偉大なジャズピアニストの演奏を真似るのではなく、あくまでオリジナルの演奏にこだわったのが評価されたのかもしれない」と語ってくれました。見たもの、感じたもの、自分の中から湧いてくる素直な感情を音として表現し、思うがままに演奏する。自由で力強く、それでいて繊細な旋律。これこそが野瀬さんのスタイルです。

「華やかさと孤独が背中合わせ」。ニューヨークの街をこう表現します。賑やかな繁華街のネオンに隠れるように、アーティストたちが明日の成功を夢見て虎視眈々とチャンスを窺う。頂点を目指してさまざまな人が世界中から集まり「自分の芸術性を磨き、それぞれが表現を追求している」。それがなによりの刺激になると言います。「はっきり言って不便です」。ニューヨークのくらしは日本にくらべて、不自由なことが多い。それでも、多くの人を集める不思議なパワーと魅力があると話してくれました。

野瀬 栄進(のせ えいしん)
ピアニスト・作曲家。北海道小樽出身。ニューヨーク在住19年。Mannes College of Music, New Schoolジャズ科卒業。ジャッキー・バイヤード、リッチー・バイラーク、フィル・マルコウィッツ、バーリー・ハリス、ラス・ロッシング各氏に師事。ハーマン・ディアス氏にクラシック・ピアノを師事。Blue Note NYを始めとする数々のクラブで演奏。

アメリカの音楽評論家エドワード・ブランコ氏に「伝統的なジャズのイディオムを超えた、より自由な即興芸術を目指すアーティスト」と称賛される。

音楽評論家・悠 雅彦氏に「ピアニスト及び演奏表現者として、ちょうど画家がキャンバスにデッサンを書き上げて行くように、自由な創造的精神で音楽世界を構築した」と称賛される。

  • 2011年02月04日札幌キタラ小ホールにてソロコンサートを開催。
  • 2011年07月24日札幌交響楽団と札幌キタラ大ホールにて「ラプソディー・イン・ブルー」を共演。
  • 2011年08月16日ジェイムス・コマック(b)、デュアン・クック(ds)とのトリオアルバム『Waiting』を発表。
  • 2012年01月28日小樽市民会館にて札幌交響楽団と共演。
  • 2012年09月04日公開FM録音番組NHK『セッション2012』に井上陽介(b)小山太郎(ds)のトリオ(J-Yorkers)で出演。
  • 2012年10月宮本敬文監督『操上和美 -写真家の欲望』の映画音楽を担当。
  • 2012年12月25日武石聡(パーカッション)との渋谷でのライブアルバム『THE GATE,2012 Live in shibuya』を発表。
  • 2013年04月13日ラフマニノフ交響曲第二番『アダージョ』をアレンジにしたものが、BS JAPANの番組で流れる。
  • 2013年07月19日『S&R Washington Award』受賞を受けて、Washington D.C Evermayにて武石聡氏と出演。


[受賞歴]

1995年度アメリカのジャズ誌『ダウンビード・アワード』受賞
2003年度『スイング・ジャーナル選定ゴールドディスク』受賞
2009年度『S&R Washington Award』受賞


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