札幌の短い夏の、はじまりと終わりを告げる。

さっぽろ大通ビアガーデン

TEXT/YUSUKE TOKOSHIMA, PHOTO/NAOKO TAKAHASHI

カラフルなパラソルやテント、ところ狭しと並べられたパイプ椅子。夏の風物詩、さっぽろ大通ビアガーデンがいよいよはじまりました。札幌の人であれば「今年もこの季節がやってきた」と感じるはず。そんなひと夏の活気に湧く大通公園を、東端にあるさっぽろテレビ塔からスタートして西へと歩いてみました。

大通公園は、言わずと知れた札幌のシンボル。街を南北に二分するグリーンベルトは、大通西1丁目から大通西12丁目まで、長さ約1.5Kmにも及びます。色とりどりの花壇や美しい芝生が広がり、数々のイベントが開催され、市民はもちろん観光客にも親しまれています。

西5丁目の会場では、まだ陽の高いうちから、木陰の良席が埋まってゆきます。清々しいブルーのユニフォームを着たスタッフがてきぱきと客席までビールを運んでいました。大手ビール会社が一つのブース(公園の1丁角)をそれぞれ受け持ち、運営しています。ビール以外のドリンクや趣向をこらしたフードメニューなど、各社とも実に個性ゆたか。西11丁目会場の“世界のビール”ではドイツをはじめとする各国のビールが楽しめます。

西9丁目にさしかかると、木漏れ日を浴びる遊水路と大きな滑り台が。ほろ酔いの大人たちを尻目に、子どもたちが無邪気に遊んでいます。陽が傾き、風がとたんに涼しくなりました。しかし、宴の熱気は増すばかりです。 「短い夏をとことん謳歌しよう」。住むところ、生き方は違えど、公園という一つの大きな空間のもと、一斉にビールを味わうことで、知らず知らずのうちに共感を楽しんでいる。そんな気がしました。