地球の断片がぎっしり。

北海道大学総合博物館

TEXT/YUSUKE TOKOSHIMA, PHOTO/NAOKO TAKAHASHI

北海道大学の広大な敷地を貫くメインストリート沿い、木立の奥に佇む「総合博物館」。旧北海道帝国大学理学部本館として昭和4年11月に完成した、北海道大学構内に現存する最も古い鉄筋コンクリート造の建物です。外観は昭和初期に全国的に流行したというスクラッチタイルで仕上げられ、端から端まで並ぶ正面のアーチ窓、四隅に円筒を配した玄関ポーチなど、重厚な雰囲気を漂わせます。

長く理学部本館として使われましたが、平成11年、市民に開かれた総合博物館としての歴史をスタート。400万点にも及ぶ貴重な学術標本を整理、保存しながら、一部を一般公開しています。明治9年に札幌農学校として開校して以来、130年以上にわたる北海道大学の学術研究の成果を、次世代に継承する使命を担っています。

中に入ると、北大歴史展示、植物・昆虫標本や骨格標本をはじめとする学術テーマ展示、学術資料展示など、膨大な数の標本や資料が静かに語りかけてくるようです。外観と同様、建物内部にも、純白のアインシュタインドーム、象徴的なレリーフなどの見どころがあちらこちらに。時間を忘れて滞在してしまいます。企画展示にも力を入れており、市民向けのセミナー、ワークショップなどを楽しみに訪れる人も多いそうです。これまで、そしてこれからも北海道大学に蓄積されてゆくモノ(標本や資料)とコト(情報)に、さまざまなヒトが出会う。市民はもちろん多くの人に開かれた博物館として、街に親しまれる存在となっていくのでしょう。