イタリアの空気と味にひたる。

La Giostra

PHOTO/NAOKO TAKAHASHI

狸小路で急に雰囲気が変わる7丁目。異国情緒漂うその一画に、ラ・ジョストラはあります。ここは、バールであり、ジェラテリア。エスプレッソやジェラートを味わいながらゆったり過ごす午後のひととき、ワイングラスをかたむけてイタリアの家庭料理を味わうにぎやかな夜。そんな2つの魅力を持つお店です。なにより大事にしているのは空気感。イタリアのバールと同じように、一日に何度も訪れてしまうような気軽さと温かさに満ちています。

元々イタリア好きだったという店長の時崎さん。イタリア人の美意識や、歌うような話し方に魅力を感じていたそうです。そして何より憧れたのがバリスタ。その言葉自体が日本で一般的ではなかった時代に本場へも渡って修行を積み、ラ・ジョストラを開店。時崎さんが淹れるエスプレッソの味わい深さは、イタリアから訪れたお客さんたちが残していった「最高のコーヒーをありがとう!」という落書きでも証明されています。使っている豆はもちろんイタリアのもの。7種類ほどの豆をブレンドし、毎日挽き方をかえながら、その日のベストの味を引き出しています。ちなみに、エスプレッソは砂糖をたっぷり入れて3口くらいで飲み干すのがイタリア流。ぜひお試しあれ。

イタリアでは、スーツ姿の男性が夜に食べていることも珍しくないというジェラート。ラ・ジョストラのジェラートもそんな本場イタリアの味です。ポイントは「濃厚さ」。イタリアで言う「濃厚さ」は、生クリームがたっぷり入っていることや甘いことではなく、素材の味や香りが強いこと。ラ・ジョストラのジェラートは、濃厚でありながら甘さひかえめな本場の味です。

料理もイタリアのレシピに忠実に。ヴェローナ、サルディーニャ、ミラノ、トリノ、ローマ、ナポリ、アマルフィ……。時崎さんがイタリア各地を巡りながら教わった「マンマ」の味です。マンマというのはイタリア語で「お母さん」のこと。時崎さんが「お母さんの味は、絶対おいしい、あたたかい味」と語るとおり、このお店のメニューはどれも、何度も頼みたくなってしまいます。

美意識を大事にしながら、気取らない。このお店へ行けばきっと、そんなイタリアの雰囲気を感じとれることでしょう。